部活時代(中学編) その6

我がチームの控えキーパーはストッパーに入っている先輩です。
その先輩はレギュラーのキーパーと同じくらいの力量がありながら足技も行ける!ということで
ストッパーに入っていた人なので、その人が無事キーパーのポジションにつきました。

そこからが問題でした。
空いたストッパーに入る様に指示を受けたのが僕で、僕の位置にはこれまた一年生が投入されます。
その時の状況を整理しますと我がチームの構成は俗に言う4-3-3。
基本的にグランド全体を均等に9人が散り、キーパーの前にスイーパーが陣取ります。
FWの両側がウィング、真ん中が点取り屋のエース。
ハーフの真ん中が抜群に上手い転校してきた先輩。
その両サイドが同じくそこそこ上手い2年生。ディフェンスは新たに真ん中に僕。
サイドバックは両方1年生。スイーパーは2年で一番怖い先輩。
キーパーは交代で入った元ストッパーの先輩です。

と、まぁ味方はどうでも良いのですが問題は相手です。
それまでの2点を取ったのは僕が新たにマークに付く相手のセンターフォワードです。
しかも、最初にマークにいった時にその人の流儀なのでしょう。
クルっと僕の方に向き、近づいてきて至近距離で目を合わせ逸らそうとしません。
所謂、ガンを付けてきてしばらく動きません。
言っときますが、試合中です。
でも、そういう時代だったのです。
間違いありません。彼はそのチームで最もツッパてるヤンキー兼エースです。

怖いッス。しかも、ボール来たら100%ドリブルで勝負に来ます。
ぶつかる度に、後ろから押す度に「テメェーふざけんなよ!」と低い声で罵られます。
僕の後ろに控えてる我校自慢の先輩と激突してくれれば楽なのですが。。
なんてやってるうちに更に1点返されます(6対3)。
決めたのは僕の目の前のソイツ。

味方ベンチからも、キーパーに移った先輩やチームで1番上手い先輩からも、
全て僕に向かってゲキが飛んできます。
「しっかりマーク付けよ」「そいつさえ止めれば楽勝だぞ!」
でも、僕はその時本来の汗を凌駕する勢いで流れ出た冷汗に覆われ体が涼しいんです。
思い起こせば、何故先輩達は誰も「オレがマークに付く」と言わなかったんでしょう。
長期的な視野に立った優しさ?
いやいや、うちの学校に限ってそんな建設的なアイデアがあるはずもない。
ヤバイです。もうヤバイです。
なんて思いながら更にコーナーキックから1点取られました(6対4)。
決めたのは幸い僕の目の前のソイツでは無いですが、彼のシュートのこぼれたところを決められました。
僕はもう心臓がバクバク、チーム全体がフワフワしてきてました。

そんなヤバイ時にミニ山下慎二こと顧問から「あと2分!」という声がグランド中に響き渡りました。
実はこれがもの凄いファインプレーでして、その時点では実際は5分くらいあったそうです。
しかしその「あと2分」コールが功を奏し、相手は焦り始め特に目の前のソイツはイライラが募り、
ボールを持つと僕に真正面から突っ込んできます。
日向小次郎ばりの突進でトラの化身のつもりです。
しかしねぇ・・・。
真正面から来たら流石に無理ですよ。こっちは楽チンですもん。痛いですが。

そして、待ちに待った終了の笛。初戦は無事勝利!喜びよりも安堵感が先立ちます。
何しろ、6点取ってるんでチームにヒーローは多数。
デキが悪かった奴は僕くらいです。
スネました。いじけました。
帰り道は呆然としてました。
確か翌週の2回戦でうちの中学は負けるのですが、そのときの方が随分とマシだった気がします。

ともあれ、始めてのサッカーの公式戦。
この昂ぶりは何にも変えられないということに気付き始めていました。
中学1年の秋はそんなデッカイ思い出と共に過ぎていきました。
(つづく)
c 175cm/85kg

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このページは、2007年12月 7日に書いたブログ記事です。

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